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前編 - 広田雅将の時計談話 Vol.1 / L'ECHOPPE コンセプター 金子恵治氏

「IWCってオールデンみたいな存在なんですよ。」

今回から不定期で始まった、時計ジャーナリストであり、時計専門誌「クロノス」日本版の編集長である広田雅将氏による時計談話。
記念すべき第1回目のゲストは、セレクトショップ、L'ECHOPPE のコンセプターである金子恵治氏。
物への拘りが強い2人の談話をお楽しみ下さい。

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広田さん(以下H)色々な事をされてこられたと思いますが、今までの経緯を教えて下さい。

金子さん(以下K)高校を卒業してすぐに洋服業界に入り、18歳から販売員を始めて。そして今の会社に入ったのが22歳だったかな。メンズで求人を見たのに、なぜか僕、レディースのお店に行く事になりまして(笑)
24歳でEDIFICEに入ってその1年後くらいに店付きのバイヤーになったんですよ。そこから32歳までやって、10年間勤めたベイクルーズを一度辞めたんですよ。人って32歳ぐらいになると調子に乗るじゃないですか?

H そうですね(笑)

K クリストフルメールのチームでセールスやMDをやったり。Bshopの企画をしたり。JUNグループに3年くらいいて。いろんなブランドのネタを考えたり。駅中の業態の雑貨屋さんを作ったりとか。
藤原ヒロシさんが立ち上げた「ザ・プール青山」というお店の立ち上げを手伝わせていただいたり。その後、まさかなのですが、もう1度ベイクルーズに戻るんです。

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H 何歳くらいの時ですか?

K それが40歳過ぎくらいですかね。ジャーナルスタンダードやEDIFICEとしては、会社として、改めて洋服好きにアプローチしていきたいという思いがあり、でもそれを誰がやるんだという話になり、
そこでなぜか僕の名前があがったようなんです。声を掛けて下さった元上司の方には、過去に大変お世話になった事もあり、僕にできる事であれば協力したいと考え、それで、もう一度ベイクルーズでやってみたいと思って。その方と一緒に「レショップ」を考えて、作ったという流れですね。

H なるほど。そもそも、江口さんとはどうやって知り合ったんですか?

K レショップを始めて3年くらいした時に、「ニート」というパンツブランドを取り扱っていて、そのデザイナーの西野さんに紹介してもらったんです。元々、マルジェラ期のエルメスがあるけどどうしようって悩まれてたんですよね。

江口(以下E) そうです。私は物は持ってるんですけど、売り先が無いという状態だったので、それをどうしようと、西野君に相談していたんです。そうしたら今度紹介するね。って言われた人が金子さんでした。

H そこから繋がりが出来たって事ですか?

K そうですね。僕ら的にもエルメスのイベントは大成功で。あの頃、マニアックなお店ではマルジェラ期のエルメスってやってましたけど、僕らみたいなお店はやってなくて。結構知らなかった人達にも届けられたりとか。そこで江口さんの名前もうちから発信出来たりとか。その後にカルティエのタンクだけのイベントをやらせて頂きました。
その時の成績的には思わしくなかったんですが、ルイカルティエコレクション。今では凄い事になっていますよね。

E そうですね。マルジェラ期のイベントもカルティエヴィンテージウォッチのイベントもどちらも私達にとってとても良い経験になったイベントでした。

K 僕らとしても、1歩先を行く提案をするお店を目指していたので。それを先駆けてアプローチ出来たり、なんかレショップを通じてお互い(金子と江口)の発信の場みたいな。ヴィンテージとか色々供給して頂いたりとか。それで今に至るのですが。

H 金子さんと江口さんのショップって、本質的な所が近しいなって思うんです。僕はファッションはわからないですけど。マニアックである事、面白い事、ある程度マスに届く事、それを上手く両立させようとしているのかなって感じがするんですが。そこら辺はどう思っていますか?

K そうですね。僕は25歳ぐらいの時からずっとマニア受けするような洋服をやり続けてきているのですが、ただ当時はマニアに届ける。で終わってたんです。ただレショップを始めるにあたり、届けるものはあまり変わらないのですが、そういうものを、もっと色んな方に楽しんでいただきたく、以前よりもわかりやすい表現をし、ファッションに少しでも興味があれば伝わるように心がけてきました。小難しいものもカジュアルな感覚で届けられたらなって思ってお店をやっています。
江口さんが扱われている物なんて、ホント難しいものばかりですが、決してそう感じさせない所に憧れがあり共通点みたいなものがあるなとは思っていました。

H そうですよね。アンティークウォッチも長らく僕みたいなオタク専科だったけれども、江口時計店とか真新しい店が増えてきた。そういう新しい世代の店を通じて、より広がりを持てると感じてるんですよ。

K はい。僕自身はアンティーク時計って、エディフィス時代もお店で扱っていたりを見ていたのですが、一切手を出さず。
何か、洋服だけで来ちゃったんです。江口さんと出会って、初めて時計を買ったんですね。それがカルティエのエリプスと言うモデルでした。

E もうなんだか懐かしいですね(笑) 時計買うなら大体の方はまずスポーツモデルから行くじゃないですか。カジュアルなファッションにドレスウォッチと言う、そこも金子さんぽかった。

K 元々ガーミンとかアップルウォッチの様なデバイス時計しかつけていなかったので、その反動でドレス系ウォッチというか、何か、ジュエリーウォッチみたいなのが欲しかったんです。

H 実際にカルティエのドレスウォッチを触って、買ってみて、何か変わったことってありますか?
僕らみたいな時計好きが見るよりも、ファッションやってこられた金子さんみたいな人がそのフィルターで通して見たときの感想って、凄く興味がある。

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K そうですね。例えば白シャツを洗いざらしで着る事って僕的には、一応メッセージがあるんですよね。本来、しわを取って着る物をこう着るっていう。そういったときに、ただ白シャツをそう着ただけだと、やっぱり伝わり方って半分ぐらいなんだなっていうのはいつも思っていて。カルティエのアンティーク時計を付けて、洗いざらしの白シャツを着ると、決してズボラだからこうしてるんじゃなくて、狙って(狙っていると思われたくはない)、ちゃんと気を使ってそうしてるんだなっていうのが、より伝わるような気がして。デバイスとして使っていた今までの時計とはまるで存在意義が違うんです。

H なるほど、なるほど。

K 時計のお蔭でめちゃくちゃシンプルな服が楽しくなりましたね。元々ベーシックな服を好むんですけど、この白シャツがなんでいいかっていう事をお客様に届ける為の、めちゃくちゃ良いオプションっていうか、武器になっていると感じてます。
カルティエを買えば、イメージの中にジーパンにTシャツにカルティエ、これでTシャツにジーパン成立するな。とか、
スラックスに汚いスニーカーにカルティエとかでも、なんかすごくいいな。とか
実物を見たらどんどん湧いてきちゃって
もうたまらず、買いますみたいな(笑)

H 確かにそうですね。ファッション的なところで見ると、要はその付けている時計によってメッセージ性をいくらでも変えられ、同調できる。
でもその視点は、僕らは全然、時計オタクだと持てないものだからそれはすごく面白いんですね。とても勉強になりました。

中編に続く

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前編 - 広田雅将の時計談話 Vol.1 / L'ECHOPPE コンセプター 金子恵治氏
中編 - 広田雅将の時計談話 Vol.1 / L'ECHOPPE コンセプター 金子恵治氏
後編 - 広田雅将の時計談話 Vol.1 / L'ECHOPPE コンセプター 金子恵治氏