前回のコラムでは、ブルガリ・カレイドス展の開催背景と空間構成、第一章「色彩の科学」までをご紹介しました。
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第一章で触れた色彩の迫力。その背景にある思想を、第二章では丁寧に紐解いていきます。
原色の章を抜けると、第二章「色彩の象徴性」へと移ります。
かつてヨーロッパのジュエリー界では、宝石の色を大胆に組み合わせることは慎重に避けられていました。価値や格式を重んじ、同系色でまとめることが美徳とされた時代に、ブルガリはあえて異なる色同士を掛け合わせるという選択を行います。その革新性は、今日に至るまでブランドの核として受け継がれています。

【Necklace in gold with Chalcedonies, Onyx, Rubies, Emeralds】
ワンダージェムのセクションでは、体験型映像とともに、色彩の持つ可能性が視覚的に展開されます。アーカイブ広告と宝石の輝きが交差する空間は、ブルガリが築き上げてきた色彩表現の歴史を、五感に直接訴えかけてきます。

【The “Wonder Gem” Digital Room to Dive into the Colorful Archives】
また、現在も高い人気を誇るセルペンティの展示では、色彩の違いによって表情を変える蛇のモチーフが、ミステリアスな美しさを放っています。官能性と生命力、そして永遠性を象徴するこのモチーフは、ブルガリの世界観を体現する存在として、時代を超えて愛され続けています。

【Serpenti Necklace in Gold with Red and Black Enamel, Emeralds and Diamonds. 1970】

【Serpenti Necklace in Gold with White Enamel and Rubies. 1970】
そして第三章、「光のパワー」。
ここでは、色彩と造形に加え、光そのものが主役として浮かび上がります。パールやダイヤモンド、貴金属そのものが生み出す反射と透明感が、素材の本質的な美しさを際立たせ、空間全体に繊細な輝きをもたらします。

【Girdle in Silver, 1884-1900】
現代アート作品も併せて展示され、三人のアーティストによる色彩解釈は、ブルガリのジュエリーと色との運命的な関係性を、より立体的に映し出していました。

【Mariko Mori “Onogoro Stone Ⅲ”】
ブルガリが一貫して行ってきたのは、ジュエリー界への挑発ではなく、色彩そのものに対する実験的な探求心です。暖色と寒色が出会うことで生まれる緊張感、そしてその先に訪れる美しい調和。ブルガリは色を「装飾」ではなく、「表現言語」として扱い続けてきたことが、本展を通して明確に示されていました。

【Necklace in Platinum with Emeralds and Diamonds, 1961】
色彩を通して浮かび上がるのは、イタリアの職人たちが受け継いできた感性とエネルギー、そして140年以上にわたり積み重ねられてきた、色そのものへの揺るぎない信念です。
日本で開催された本展は、ローマと東京、過去と現在、伝統と革新を静かに結びつける架け橋となりました。「カレイドス」という名の通り、視点を変えるたびに、新たなブルガリの表情と出会える、そんな余韻を残す展覧会でした。

【Convertible Sautoir-Bracelets in Gold with Amethysts, Turquises, Citrines, Rubies, Emeralds and Diamonds. 1969】
当店では現在、ブルガリのアイテムをご紹介できる機会は限られています。
それでもブルガリ・カレイドス展は、時代や流行に左右されない価値とは何か、そして良いものを永く繋いでいくことの意味を新たな視点から捉え直すきっかけを与えてくれました。
本展が示した価値観を胸に、私たちも確かな価値を見極め、永く愛されるものを届け続けていきたいと思います。