コラムの Watch Repair School 01 近江時計眼鏡宝飾専門学校 で取り上げた通り、技術者を志す人達が門をたたく場所の一つが
ヒコ・みづのジュエリーカレッジ
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その関西で拠点とするのがヒコ・みづのジュエリーカレッジ大阪です。

この学校の歴史ですが、
現在、ジュエリーや靴・鞄の製作のコース、また姉妹校の東京サイクルデザイン専門学校など多ジャンルの専門家を目指す学生さんも多数在籍されています。
渋谷・原宿・青山と言う最先端のファッションや文化の集う場所に学校を作る事で、若い世代の人達が学業だけで無く、文化的な事も学べる環境を作りたいと言う創業者の思いから長年渋谷の地で学校を続けておられます。
そして、創設から約30年後の1997年にウォッチコースが設立されました。世界的に見ても珍しい、常時100名程の時計技術者を志す生徒さんが通う場所です。なぜジュエリーの専門学校が、時計技術者のコースを始める事になったのでしょうか。
1969年にSEIKOがクオーツ時計を発売した事で、クオーツショックが起き、スイスは勿論、日本でも時計修理技術者が廃業に追い込まれると言う時代がありました。国内メーカーはクオーツ時計を推進する中で、スイスの時計関係者を初め、日本において機械式時計の販売を請け負っていた輸入代理店は、今後の技術の継承をきちんと考える必要性が生まれていました。
その現状を打開すべく、(一社)日本時計輸入協会がヒコ・みづのジュエリーカレッジに依頼した事がきっかけで、1997年に1年間の夜間コースとしてスタート致しました。当時は生徒が集まるのか不安な思いだったとお聞きしましたが、25名の募集枠に3倍以上の応募があり、機械式時計の需要の高さ・魅力を学校として認識したそうです。
その後、こういった流れを受けて、舶来時計に対応できる技術者を育成する目的と言う事もあり、世界的な技術基準となっているスイスのWOSTEP(ウォステップ)のカリキュラムを取り入れた若手技術者の育成をスタート。現在までに2000人以上の技術者を育成してきました。
取材当日は、ヒコ・みづのジュエリーカレッジ大阪の講師である小林先生を訪ね、今回の江口時計店とのヴィンテージウォッチムーブメントをカリキュラムに取り入れる事について、お話を伺いました。

今回の取り組みの意義について教えて下さい。
大阪校は高校を卒業した10代の学生から、社会人を経ての再修学者、留学生など幅広い学生が在籍をし、日々時計修理技術を学んでいます。新品のムーブメントを使用し、仕組みの理解や修理の授業をしています。しかし、実際に彼らが社会に出ると、新品ムーブメントではなく、長年愛用されたムーブメントを触る事の方が圧倒的に多いと思います。学校として長年使用された状態のムーブメントを用意する事は難しい為、今回の様な取り組みが出来る事はとても有意義な事だと感じています。

実際に取り組んでみて如何でしょうか?
江口時計店の技術者の方々のサポートもあり、不具合を見つけたりパーツ交換や修正をする工程を学生と一緒に学んでみて、実際の修理の現場の空気を肌で感じる事ができ、重要なカリキュラムと感じています。ヴィンテージのETAやロレックス、ジャガールクルト等の普段触る事のできないムーブメントから得る物はとても大きいですね。これからも定期的に江口時計店の技術者の方を講師として招いて、不具合の発見方法や、修理方法について学生に触れる機会を作っていきたいと思っています。

有難い事にこの取り組みは、「職業実践専門課程」として文部科学省から認定された学校と、当店との正式な授業のカリキュラムの一つとして実施頂ける事になりました。
取材を終えての感想は LINK → Watch Repair School の取材を終えて

