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こんにちは。時計技師の永田です。
すっかり冬らしく寒い季節になりましたが、皆様ご体調にお気を付けください。
今回はオーデマ・ピゲのCAL.2121/1のオーバーホールです。
宝飾感あふれる10角形のケースが特徴的なモデルです。
個人的にはとても好みな形です。
ちなみに10角形は英語でDecagonというらしいです。
ローターには金が取り付けられています。
理由は金の比重が重いので巻き上げる効率が高い為です。
見た目だけの飾りではなくちゃんと意味があるのがいいですよね。
開けた瞬間に美しいと感じますね、、、所謂勝ちムーブメントの一つです。
自動巻きですがかなり薄く、手巻きのムーブメントのようです、、、
このキャリバーの特徴的な部分が、薄型化の為ローター芯が細くローターにレールが取り付けられていて、地板4箇所のルビーベアリングの上をレールが滑るようになっています。
芯に掛かる負荷を減らし、巻き上げ効率も上がるようになっています。
ベアリングはローターに隠れていて見えませんが、後程分解した画像もあるのでご覧ください。
また36石とかなり多くのルビーが入っています。(ルビーも飾りではなくちゃんと役割があります。)
初期状態の精度を確認後、ケースからムーブメントを取り出し文字盤を外します。
カレンダー回りを分解したら、表回りをチェック・分解していきます。
特に不具合は見当たらなく大部分をバラシたところです。
受けの仕上げも綺麗ですね、、、
先ほど説明したルビーベアリングの画像です。
4箇所に配置されています。
取り外すと、裏はこんな感じになっています。
汚れがひどい所を刷毛で手洗いをしてから超音波洗浄機で洗います。
洗浄後、組み立てと注油をしていきます。
精度調整をします。
文字盤と針を取り付けてケーシングをします。
その後1週間のランテスト後、不具合がなければ完了です。
私は設計の事は詳しくはありませんが、大きくて薄い2121は複雑機構のベースムーブメントに最適みたいです。
初代ロイヤルオークやジュールオーデマ(2120)などにも搭載されています。
現在でも傑作と呼ばれるキャリバーです。
ちなみに2121のベースはまたしてもジャガールクルトです。(CAL.920)
高級機には欠かせない存在ですね。
オーデマピゲ 自動巻き オーバーホール ¥50.000~+TAX(部品代別途請求)
皆様の時計の修理お待ちしております。