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Think About Our Watch Repair / 私達の目指す時計修理について

いつも江口洋品店・江口時計店をご利用頂き、誠に有難う御座います。
台風19号の直撃を受けている今日。
16時頃に臨時休業中の店を見に行ったのですが、どんどん雨脚が強くなり、全国の皆様が無事に過ごされている事を願いながら自宅でこのコラムを書いております。

普段、あまり書く事の無い自分達の目指しているオーバーホールや修理の在り方について
時計技師との会話の中で思った事があったので

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Think About Our Watch Repair / 私達の目指す時計修理について

時計に興味を持った時から「かっこいいな。」と言う思いと同時に「中はどうなっているのだろう」と自然に思っていたし、初めて内部を見た時の衝撃はかなりの物だったのを良く覚えています。

電池式の時計には、基盤と呼ばれる壊れていたらどうにもならないパーツが入っていたし、
機械式の時計は、パーツ数が多く、不具合の特定をするにも電池式の数倍の時間が掛かった。

とても難しい事だと頭を抱えたけれど、それと同時にその道を究める深みのある道である事もすぐに理解できた瞬間でもありました。

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実際に、販売する時計を始めとする、お客様の時計をオーバーホールさせて頂く中で、ヴィンテージウォッチユーザーである、私を含め、長年愛用した時計を直したい方、祖父母の時計を直したい方などに共通して言える事は、古い時計の修理は、修理会社に嫌がられると言う事。

修理を行う技師としても、受け付けてもパーツ入手が出来なかったり、パーツの破損や錆取りなどの現行品にはあまり無い手間と知恵が必要になる作業を強いられる。

私自身も昔は職人であった為、1時間=?円と言う作業に没頭する時間を算出する為の基本計算があり、その限られた時間の中で如何に生産性の高い働きが出来るかと言う事が仕事上でのとても大切な基準になる事を理解しているからこそ、その内容を見てみると、現行品を扱う職人さん達とは比べられない程の時間を一本の時計に掛ける事になる。

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この話は特に私達が修理に時間を掛けていると言う事を言いたい訳では無く、時計技師にも得意不得意があり、私達が進めたい時計修理とは、時計を分解して洗浄して組み上げると言うシンプルな物を目指している訳では無く、

50年以上経過した時計を改めて使える様にする為に必要な事は、すべて作業の内と考える事です。

例を挙げれば
緑青(りょくしょう)と呼ばれる錆を落とす事
ブレスの内部に入り込んだ汚れをすべて落とす事
稼働しているけれど、おかしなパーツが入っていれば取り換える事
現行品と違いガラスがプラスチックなので割れや傷を直す事
機械全体が使えない状態でも、パーツを入手し直す事
常に使う可能性のあるパーツはストックしておく事
パーツ制作(別作)の工程をマスターする事
ガラス別作やレーザー溶接などの外注の必要な案件にも対応が出来る事

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バーニーズニューヨーク神戸店のイベントの際に、70歳の元時計技師の方とお話をする機会があり、改めて感じた事は、工具が進化し、新旧の技術を合わせて使える以上は、技術の継承とどんな物でも直したいと言う思いのみだなと。

修理を行う現場はいつも時間との勝負ですが、時間を掛けなければ出来ない修理があり、私達が皆様にお届けしたい時計は勿論の事、そういった修理を必要としている方にご満足頂ければと思っております。

どうにも成らない悩みとして。
皆様からのご依頼に、日々奮闘している為、私物の修理が全く進まない事が悩みの種です。
ではまた。