廃盤メンズモデル
ジュエリーや芸術の世界を近代的で実用的なものに変え、モダンウォッチのパイオニアと言われたカルティエが展開した、とても貴重な存在である時計のご紹介です。パテックフィリップ社のが展開していた名作キャリバー9-90を搭載したカルティエのレクタンギュラーケースモデルRef.406。
こちらのモデルはカルティエらしいデザインとは少し違った印象ですが、外周のレイルウェイミニッツサークルとゴールドのアルファハンド、スモールセコンド、そして繊細なアラビアインデックスが、絶妙な色合いのアイボリーダイヤルにレイアウトされ、時計として素晴らしい顔立ちです。36×20ミリというスリムなスナップバック式ケースで、綺麗なダイヤルと美しいケースラインが、サイズ以上に特別な存在感を放ちます。1930年代、世界はアールデコの色が強くなり、その芸術的アートの世界を時計の世界にまで表現し現実なのものとなりました。腕時計の歴史として、形状は基本的に丸型でしたが、次第に角型や変形のものが作られるようになり、そのためムーブメントも角型が必要になってきました。
しかし角型ムーブメントは輪列の配置等がとても難しく各メーカーの製作は困難を極め、その中でパテックフィリップは1934年キャリバー9-90を製作。精度を安定させた理想的なものとし、さすがパテックらしい完成されたムーブメント創り上げ、そこから精確性が高く改良の必要がないと判断され、1934年から33年間作り続けられる異例のロングセラーの角型時計用キャリバーとなります。
時計に付属するパテックフィリップ社製のアーカイブ、カルティエ社の過去の修理明細も発行されていますので、両社認めている本物であることに間違いありませんが、歴史的なルーツに謎が多くあります。筆者自身が推測するところ、美しさはありますがカルティエのデザインというよりも「パテックの様なレクタン」としての魅力を感じますし、さらにパテックフィリップ社製アーカイブには「1934年に製造」と記載されています。それは先ほどの記述の様にキャリバー9-90と製造され始めた同年の製造となりますので、当時としては最高峰の精度を誇る角型時計用キャリバーが製作されたことを知り、搭載できるモデルとして作ったのではないでしょうか。と、想像力が膨らんでしまいます。デザインは勿論、存在すること自体が、究極のストーリーとなっています。是非店頭にてご覧ください。