1847年に創業したカルティエは、高品質で卓越した職人技を要するラグジュアリージュエリーで名声を築き、その独創的で完璧なプロポーションにより、当時の貴族たちを魅了しました。1904年には英国王エドワード7世より初の王室御用達の認定を受け、「宝石商の王(King of Jewellers)」の称号を賜りました。カルティエの魅力は、その豪華さだけにとどまりません。
時代を超えて愛されるジュエリーを生み出し続けている理由は、ブランドが掲げる「無駄を削ぎ落としたライン」「明確なフォルム」「完璧なプロポーション」「洗練されたディテール」というクリエイションの4原則にあります。
今回ご紹介するカルティエのIDブレスレットは、特注品のためコレクション名はなく、世界にわずか9点しか存在しないという非常に希少なアイテムです。カルティエが誕生したフランスでは、第一次世界大戦中に兵士の識別用として「plaques d’identité(認識プレート)」が導入され、これが後にジュエリーとしてのIDブレスレットへと発展しました。1970年代から1980年代にかけては、子どもの誕生祝い(Baptême)や記念日の贈り物としてIDブレスレットを贈る習慣が広まり、名前や記念日を刻印するスタイルが人気となりました。
ホールマークの鷹とCartierのロゴ刻印から、本ブレスレットが18Kゴールド製であり、1970~1980年代のものと推測されます。ゴールドの輝きが際立つ大ぶりなIDプレートと、ホースビット型チェーンの洗練されたプロポーションが、圧倒的な高級感を演出します。なかなか出会うことのできない逸品を、ぜひ店頭でご覧ください。