廃盤メンズモデル
1894年、エミーユ・デコームとジョルジュ・ペレによって設立された「Universal Geneve / ユニバーサルジュネーブ」。複雑時計製作を得意とした、実用性の高い多機能クロノグラフを展開し、大戦期には階級の高い将校、航空や医療等の様々なニーズに合わせて多くの名機を輩出。後に小型のマイクロローターを搭載した、薄型自動巻きムーブメントも開発し、時計業界に多くの功績を刻み続けたスイスの名門時計会社です。
今回は、その中で様々な派生モデルのベースとなったスタンダードモデル、コンパックスRef.222101-1のご紹介です。シャープで凛々しく、品の良い顔立ちのコンパクトな3レジスタークロノグラフで、美しくドレッシーな要素も感じさせるモデル。ダイヤルに濃く深く刻まれたヘアライン加工が特徴的で、段付きのタキメーターインダイヤルが、この時計の存在感をより高めてくれます。3時位置に30分積算計、6時位置に12時間積算計、9時位置に永久秒針が配された、卓越した機能美も感じさせる素晴らしいデザインです。
ムーブメントは、キャリバー281を搭載。機能を追加させた最上位機種トリコンパックスや、豊富で多彩な機能を展開したコンパックスシリーズを支えたベースキャリバーで、ジラールぺルゴ等にも供給された、クロノグラフムーブメントの歴史的名機と言えます。 ユニバーサルは、一般的に自社製造のマニュファクチュールと捉えられていますが、製造体制や展開は複雑で、マーテルウォッチカンパニーのエボーシュムーブメントを使用し、製造を行っていたようです。マーテルウォッチカンパニーとは、1911年に設立されたクロノグラフ製造メーカーで、ユニバーサルとゼニスへ供給を行ったと推測され、マーテル社製ムーブメントは、ユニバーサルやゼニスと酷似している言われています。尚、ゼニスは60年代にマーテル社を買収し、世界初自動巻きクロノグラフで有名なエル・プリメロの開発につなげたとされ、買収の影響か不明ですが、ユニバーサルの60年代後半以降のモデルは、バルジューやヴィーナスのエボーシュが使用されています。これらの関係の詳細は、確かな資料が残っていない為不明ですが、高度な技術を要するクロノグラフの広大な歴史的な背景を、垣間見たような面白みを感じさせます。
レザーブレスには、新品クロコダイルレザーブレスのネイビーをセレクト。スポーティなデザインが多いクロノグラフの中でも、均整のとれたデザインと控えめな存在感で、都会的な印象の素晴らしいデザイン。汎用性が高く、様々なシーンで活躍できる綺麗な時計です。現在は資料としてNot for Saleとしております。是非店頭にて御覧ください。