カルティエのアーカイブの中でも最も重要なデザインのひとつとして名高い「タンク」。その原型となった[Tank Normale/タンクノルマル]は、1919年に発表されたタンク型(レクタンギュラーケース)の先駆けとなるモデルです。角ばったフォルムは「戦車の両輪」を象徴するデザインとして、多くの人々にその存在感を印象付けています。2023年の[Cartier Privee/カルティエ プリヴェ]で復刻された際に、「タンクノーマル」から「タンクノルマル」へと呼称が変更されました。
今回は、カルティエ黎明期の時計製造を担ったEWC製ムーブメントを搭載する、非常に魅力的なモデルのご紹介です。タンクノルマルの流れを汲む直線的なケースデザインは、カルティエが追求してきた美意識を端的に表現しています。温かみのあるイエローゴールドケースは、華やかさの中にも落ち着きを感じさせ、時代を超えて愛される佇まいです。本個体はケースサイドに4点スクリューを備えながらも、70年代のルイカルティエコレクションや、ルクルト製の[Cartier]刻印ムーブメントを搭載したモデルとは明らかに異なるディテールを持っています。厚さわずか約5mmという驚異的な薄型ケースに、カボションを備える以前の希少なオリジナルフラットリューズ、6時位置に生産国表記のないローマンダイヤル、美しく焼き上げられたブルースチールハンドなど、初期ならではの魅力が随所に詰め込まれています。
ムーブメントは、貴重な[European Watch and Clock Co. Inc.(EWC)]製の手巻きキャリバー122を搭載。EWCとは、カルティエのヴィンテージモデルの価値と魅力を物語る歴史的証拠とも言える存在です。1907年、カルティエは後のジャガールクルト統一へとつながる契機を築いたフランスの時計師エドモンド・イエガーと14年間の専属契約を締結し、1920年にはアメリカ市場向けにEWCを共同設立。以降、ムーブメントにEWCの名を冠し、タンクやサントスといった名作を生み出し続け、カルティエの時計事業の礎となりました。
レザーブレスには、カルティエ純正のクロコダイルレザーのブラウンをセッティング。曲線美が印象的な、イエローゴールド製のカルティエ純正尾錠も付属しております。
長い年月を経たからこそ生まれる風合いや存在感は、ヴィンテージウォッチだけが持つ特別な魅力です。その深みを増した佇まいは、普遍的な美意識を今なお静かに物語っています。是非、店頭にてご覧ください。
ダイヤルは30年代とも70年代とも違う6時位置にレターの無い光沢のある質感から、1960~70年代初頭にメーカー修復が施されていると思われます。また本商品はコレクターズアイテムのため、部品供給の都合等により当店で修理対応ができない場合は、ご購入者様ご自身でメーカー等へご相談くださいますようお願いいたします。
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