1847年に創業したカルティエは、卓越した職人技と完璧なプロポーションを追求するジュエリーで名声を築き、王侯貴族たちを魅了してきました。1904年には、英国王エドワード7世より王室御用達の認定を受け、「宝石商の王（King of Jewellers）」の称号を授かります。カルティエの魅力は、その華やかさにとどまらず、時代を超えて愛される洗練されたジュエリーを生み出し続けている点にあります。

今回ご紹介するのは、1930年代初頭に誕生したとされる〈ヒンドゥシリーズ〉のフローラル（蓮）モチーフリング。1920年代、三代目ジャック・カルティエはインドを訪れ、王族が所有する宝石や伝統工芸に深い感銘を受けました。そこから着想を得て、西洋のアール・デコ様式と東洋の装飾美を融合させたのが、この「ヒンドゥスタイル」デザインです。

インド文化において花は、神聖さ・生命・再生・女性らしさを象徴する存在とされています。それぞれの花びらにセッティングされたダイヤモンドが光を受けて繊細に煌めき、まるで一輪の花が指先に咲いたかのような印象を与えます。

使用されているダイヤモンドは、一般的な4C（カット・カラー・クラリティ・カラット）評価に加え、輝き・透明感・均整といった美の要素を重視した、カルティエ独自の厳格な審美基準によって選び抜かれたもの。リング内側にある「750」とカルティエのロゴ刻印から、1990年代頃のアイテムであることが推察されます。ホワイトゴールドの涼やかな光沢とダイヤモンドの透明感が調和し、気品ある静かな存在感を放つ一点。時代を超えて愛されるカルティエのタイムレスな魅力を、是非店頭でご覧ください。