エルメスは1837年に高級馬具工房として創業しました。その伝統を受け継ぐデザインやコレクションには、「Sellier(セリエ)」という名称がよく使われます。当初は上質な馬具やレザーバッグが中心でしたが、1938年にエルメス初のオールシルバージュエリー「シェーヌ・ダンクル」が誕生。今やブランドのアイコンとなったこのシリーズに並び、1946年にはエルメスの人気コレクションのひとつ「ブックルセリエ」が発表しました。
「Sellier」とはフランス語で「馬具職人」を意味し、馬具の製作に用いられる革の縫製技術も指しています。この特別な技術は、エルメスを代表するバーキンなどのバッグにも採用されており、ブランドの伝統と職人技が息づく重要な要素です。
今回ご紹介するのは、ブックルセリエリング。馬具の一部であるハーネスのバックルからインスピレーションを得たデザインが特徴のコレクションです。立体的なバックルとチェーンモチーフの細やかな作り込みが、ヴィンテージエルメスジュエリーならではの魅力を放ちます。ブレスレットのデザインを凝縮したかのようなリングは、1点で主役級の存在感を持ちながらも、エルメスならではの優雅さを兼ね備えています。
ミネルヴァのホールマークとエルメスの刻印から、1980年代頃のものと推測されます。タイムレスなデザイン、卓越した職人技、そして希少性。この三拍子が揃ったブックルセリエリングの魅力を、ぜひ店頭でお確かめください。