1837年に高級馬具工房として創業したエルメスは、ハーネス製作に欠かせない金具からインスピレーションを得ており、これが後のエルメスジュエリーの誕生へとつながりました。1927年に誕生した最初のジュエリー作品「Filet de Selle(フィレ・ド・セル)」**は、ホースビット製作の技術を応用して生まれたものであり、エルメスの金工技術がジュエリーラインの登場以前から培われていたことを示しています。その後、1946年には「ブックル・セリエ」が誕生し、70年以上経った現在でもその人気は衰えることがありません。
「Sellier」とはフランス語で「馬具師」を意味し、馬具製作に用いられる特殊な革の縫製技術を指します。この技術はエルメスの代表作であるバーキンにも採用されており、馬具工房としての伝統と卓越した職人技が「ブックル・セリエ」には息づいています。
今回ご紹介するブローチは、「ブックル・セリエ」のベルトのバックル部分をモチーフにしたデザインです。ホールマークが蟹であることから、素材はSV800(シルバー800)であり、1960年代頃のアイテムと推測されます。ジュエリー代わりとしてビジネスファッションにも合わせやすいブローチは、一つ持っておくとコーディネートの幅が広がるため、大変おすすめです。ぜひ店頭にてご覧ください。