1837年に高級馬具工房として創業したエルメスは1927年にエルメス初のジュエリーラインを発表しました。
発表からしばらくは自然に在るものや、人々の仕事の道具である「もやい綱」や「馬具」を取り入れたデザインを一般的には販売しています。靴紐から発想を得たアイテムや寄り添い合う二つのサークルで愛を表したりもしています。
それらの一般的なアイテムとは少し方向性の違うアイテムがこちらのIDブレスになります。もともとIDブレスレットは1860年代のアメリカの南北戦争で戦地に赴いた兵士がどこの誰なのか識別するために使われたのが一般的ですが、古くは紀元前480年ごろの古代ローマにて、勇猛で知られるスパルタ人が手首に着けた棒に名前を刻んだことが始まりとされています。
装飾するためのアイテムではなく、必要不可欠なアイテムになるのですが、こちらのアイテムが作成されたのはおそらく1940年から50年頃のため、第二次世界大戦にかかっていた可能性も考えられます。
更に高価な750YGで作成されているため、おそらく1点物のオーダー品であると推測されます。また、オーダーアイテムのため、当時の名前が彫られています。”Françoise”という女性名が彫られているのですが、サイズが男性サイズのため愛する異性の名前か生まれたばかりのお子さんの名前でしょうか...。真相はわかりません。
いずれにせよオーダーで作成しているアイテムのため高貴な方のアイテムであったと思われます。とても大事にされていたであろう、歴史の1ページともいえるアイテムとなります。是非店頭にてご覧ください。