Old Quartz オールドクオーツ
あまり聞きなれない言葉かと思いますが、SEIKOの開発したクオーツムーブメントが世界を席巻し、マニファクチュールメーカーや自動巻時計の暗黒期とも呼ばれる時代を作り上げたとても大きな発明である『電池式、電子回路を有する時計の事』70年代に全盛期を迎えたクオーツ時計の多くが30~40年以上の時を経て『ヴィンテージウォッチ』として注目される様になって来ました。
江口時計店でも多く取り扱いのある『must de cartierシリーズ』も80年代からクオーツムーブメントを採用しており、当店でも多くの修理依頼を頂いております。当店では2000年以前のクオーツムーブメントをオールドクオーツとジャンル分けしております。
安心して使って頂く為に当店が日々行っている事。拘りをご覧頂き安心してご使用頂ければと思います。

80年代製造のオールドクオーツのモデルはクラシカルなフェイスデザインがヴィンテージ好きにはたまらない物が多々ありますが、クオーツは直らないと言う概念が付きまとっています。
メカニカルムーブメントの時計も同様で、100%直るとは言えませんが、原因を探り修理が可能かどうかを判定致します。使えない時計としてお蔵入りになってしまう事を出来る限り少なく出来る様に日々鍛錬です。
メーカー修理に出すと莫大な修理代金が掛かる事や、文字盤が交換されたり、断られたり。。私も自分の時計で何度も経験があり、ご相談を頂く事が最も多い修理案件です。

クオーツ時計の心臓部である『電子回路』のチェックをします。消費電流の測定はムーブメント毎に数値が違い、膨大な資料や修理経験が物を言う工程です。
不動になってしまっている時計でも、この段階で通電が確認出来れば殆どの時計が修理可能です。
基盤側の修理か、メカニカル側の修理かが、この時点で判明します。

『どうしてもこの時計が使いたい』
と言うお客様や、デザインが気に入った時計があったがパーツを入手出来ない方の為にも、国内外のルートを使用し、常時不足パーツの収集に努めており、カルティエ用ムーブメントのストックは日本一を自負しております。
必ずしも交換をしなければいけないと言う訳では無く、過去にはカルティエ以外でも、多くのオールドクオーツの再生修理の実績が有り、
『どうすれば動くのか?』
を様々な角度から模索し、最終的にパーツ交換をおすすめする様にしております。

一括りにクオーツムーブメントと言っても、電子回路と機械式のハイブリッド。機械部分の油切れやパーツの劣化により不具合が起きている場合も多々ある為、分解をしながらパーツ一つ一つをチェックして行きます。
近年の時計産業ではパーツの取替えが主流となっており、ムーブメントを組み上げるオーバーホールが行われなくなっておりますが、
親や親しい人から譲り受けた時計を使いたいと言う人間らしいニーズに、メーカーが答えられなくなっていると言う事も同時に意味しています。

メカニカル部分に不具合が無ければ、パーツを全て洗浄をし組み上げをします。
パーツの不具合を一つ一つ目視で確認し、磨耗や劣化したパーツを交換や修理をして組み上げる工程はとても神経を使う作業です。
自動巻の時計や手巻きの時計と同様に、オールドクオーツの時計もきちんと油がさされた状態で使用しなければ後々高いパーツ代が掛かってしまったり、パーツ入手が出来ず泣く泣くお蔵入りと言う事にも成りかねません。
2、3年に一度のオーバーホール、針の動きおかしいなと思ったら直に修理会社に持ち込まれる事をおすすめ致します。


ゴールデンウィークでご来店が続き吉祥寺の店舗は珍しく活気がありました笑
次は外装仕上げの工程をご紹介したいと思いますが、
時間も遅いのでその記事はまた次回に。。