1837年に高級馬具工房として創業したエルメスは馬具からスタートし、時代とともに変化する顧客のニーズに応じたアイテムを生み出してきました。 プレタポルテが展開される以前は、犬用の首輪や女性用ベルトの制作を手がけ、洗練されたクラフトマンシップを発揮。1927年にはエルメス初のジュエリーを発表し、後にブランドを象徴するアイコンジュエリーが誕生しました。こうした背景から、近年エルメスのヴィンテージアイテムは再び注目を集めています。
こちらのピルケースネックレスは、エルメスの金工技術と革技術、そしてフランスの歴史が融合した逸品です。フランスの香水文化は17世紀頃、ヴェルサイユ宮廷を中心に広まり、貴族たちは金属製のピルケースに練り香水を入れて持ち運んでいたといわれています。当時、香りはステータスの象徴であり、金や銀で作られた装飾性の高いケースが愛用されました。現在は液体香水が主流となっていますが、近年のナチュラル志向の高まりにより、練り香水が再び評価されつつあります。
ネックレスの紐部分にはラニエールが使用されています。ラニエールとはフランス語で「細い革紐」を意味し、エルメスの熟練した職人によってセリエ(馬具縫製の技術)で丁寧に仕立てられています。そのため、ラニエール単体でも高い人気を誇ります。
925刻印とエルメスロゴの刻印から、1980年代のアイテムと推測されます。 エルメスの歴史の中でも特に人気の高いマルタン・マルジェラ氏がデザイナーとして就任していた「マルジェラ期」の代表的なアイテム、ヴァルーズとも相性が良く、ファッションのアクセントとしても最適です。ぜひ、店頭にて実際にご覧ください。