PART1からの続きです。
形を整えた後、パーツに適度な強度を持たせるために、焼き入れと焼き戻しを行います。まずは焼き入れです。赤くなるまで火で熱して水に入れると素材が硬くなります。
次は焼き戻しです。硬いままだと折れやすいので、温めて適度な柔らかさに戻します。深い青色が良い状態なのでそれを目指します。理科の実験みたいでなかなか楽しい作業です(・∀・)
ひと段落ついたので、もう一つのパーツを製作していきます。方法は最初のパーツと一緒です。ただこちらは残ったパーツが無いので、穴の位置をイメージしながらより慎重に製作していきます。
削っては合わせてを繰り返し、ここまでの状態になりました(;´Д`) 小さく細い為、作業中に何回か折れて作り直したのは秘密です(⋈◍>◡<◍)。✧♡
焼入れ焼き戻しを行いました。動作を確認してみますが、無事に使えそうです。折れなくてよかった、、、、あともう少しで完成です。
青い状態も新鮮でいい感じですが、仕上げを施していきます。まずは表面にヘアラインを入れます。
元々のパーツは角も面取りされていて、側面もヘアラインが入っているので同じように仕上げます。小さいパーツで保持がしづらいので、治具も製作してます。
やっと完成しました、、、、(ー_ー)!! 動作も改めて確認してみますが、問題なさそうです。
製作作業が終了したので、オーバーホールの続きを再開します。分解済みなので洗浄機に入れる前に、手洗いをします。
超音波洗浄機で綺麗になり、サッパリパテックになりました。組立と注油作業に入ります。ゼンマイを入れていきます。ゼンマイを入れる専用工具があるのですが、合うサイズが無かったので、手で入れていきます。
注油をします。完全に見えない箇所ですが、こんなところにもしっかりとペルラージュ仕上げが施されています。
続きの組立注油をしていきます。
精度も調整をしてokです。
プラスチック風防にキズがあるので、軽く磨きます。
文字盤・針を取り付けて、ケーシングします。その前に秒針が緩かったので締め直します。何回も取り外しされていると、どうしても緩くなってしまいます。
ランニングテストをして完了です。
今回製作したパーツが折れているとリューズを引いた時の感覚が軽く、針を回そうとしてもすぐにリューズが戻ってしまう症状がおこります。修理をしていてよく折れている事が多い箇所です。パテックフィリップに限らず、お持ちの時計で同じような症状があれば、是非一度ご相談下さい。
参考料金
・パテックフィリップ手巻き オーバーホール ¥55000~(税抜き)
・パーツ製作(裏押さえ部) 要見積り<形状により料金は変動しますが、最低でも¥60000~以上になります。予めご了承ください。>
お客様の大事な時計が末永くご使用して頂ける様、お手伝いできればと思いますので、お困りの方はご相談ください。
修理のご依頼をお待ちしております。