いつも当店をご利用いただきまして誠にありがとうございます。
今年も残り僅かになりましたね。
時が経つのが年々はやくなっている感じがします。
今回はお預かり品のパテックフィリップ/cal.350のオーバーホールです。
普段良く見る時計と違う部分があります。わかりますか??
実はこの時計はリューズが正面から見えない位置にあり、裏蓋側にあります。
その為、スッキリとした見た目になっています。
ケース・ブレスの細かい※槌目仕上げもいいアクセントになっていてユニークな個体です。
(※表面をハンマーで叩いて凹凸を付ける仕上げ方法)
リューズを外さないと、裏蓋を取り外せないのでまずはリューズを外します。
リューズも一緒に回ってしまう為、回転しない様にリューズを抑えてネジを回します。
リューズ・裏蓋を外しました。
例によって錆が発生しているので、除去します。
ローターは通常センターにありますがcal.350は外周にあります。
パーツをローターが遮ることなく観えます。
また巻上効率を高める為、両端には錘があります。
高品質の証、ジュネーブシールの刻印もあります。
ムーブメントをケースから取り外し針・文字盤を外します
綺麗なムーブメントはつい魅入ってしまいます。
美しいですね、、、、
ユーザー様から見えないのが勿体ないとも思えます。
シースルーではなくても手を抜かずに仕上げられているところは、流石パテックフィリップではないでしょうか。
パーツを一つずつチェックしながら分解を進めていきます。
巻き芯部分の構造です。
裏蓋側にリューズが付く事によって、巻き芯とその他の歯車の回転する向きが統一されるため、歯車に対して比較的負担の少ない構造になっているかと思います。
分解が完了したら、刷毛で洗った後に超音波洗浄機にかけます。
洗浄後、組立と注油を行います。
精度調整をした後は文字盤・針を取付ます。
ケーシングを行いランニングして完了です。
外周ローターの構造上、裏蓋側にリューズ機能を持ってくるしか当時は出来なかったと思うのですが、それが時計のデザインに反映されている美しいシンメトリーな時計です。
ムーブメント自体は普段から目にすることができませんが、内部に実際に組み込まれている機構や技術を想像しながら、その腕時計を身に着けいただければと思います。
パテックフィリップ 自動巻き ¥71500~(税込)
お客様の大事な時計が末永くご使用して頂ける様、お手伝いできればと思いますので、お困りの方はご相談ください。
皆様からの修理をお待ちしております。