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外装の赤サビについて/Watch Exterior Red Rust

こんにちは。時計技師の永田です。

8月に比べると暑さも多少和らぎ過ごしやすく感じてきましたが、なんだかんだ暑い日が続く今日この頃です。
引き続き熱中症にお気をつけください。

今回は赤サビについてです。
サビにも種類がありますが一般的に目にすると思われる焦げ茶に見えるあのサビです。
種類によっては腐食を防ぐ酸化皮膜の役割も有りますが時計に赤サビは天敵です。
リューズが回せなくなったり折れたりプッシュボタンが押せなくなったりと、とにかく厄介です。
もちろん内部のムーブメントにもサビは発生しますが今回は外装を中心に載せています。

私たちはお客様の時計の修理の他に、店内に並べる為の時計をメンテナンスしております。
その商品用の時計で大変だった時計3つを紹介したいと思います。

まずは除去に使用する主な工具と溶剤の3種類です。

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左から真鍮ブラシ、ガラスブラシ、サビ取り液です。
真鍮ブラシとガラスブラシでおおまかにサビを除去してサビ取り液に漬けて残りをとるイメージです。


こちらは見た目は綺麗なパテックフィリップの時計ですが、裏蓋を開けようとしたら通常のコマだと全然開きませんでした。

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しっかりと合うコマがないので、仕方なく以前コラムでも紹介した方法で開けました。

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赤サビが少しありパッキンが劣化し固着している状態です。
裏蓋の形状にもよりますが、しばらく放置されているとこの様に通常のやり方では開かなくて大変です。

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次はIWCの時計です。
いい感じにサビがついていますね、、、
主観の感覚的レベルでいうと5段階中/3と行った所でしょうか。(良い意味のレベルではないです、、、)

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表面に付着している程度であれば除去が行い易いですが、この時計は若干ですがステンレス内部までサビが進行している箇所を発見しました。

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一部だけだったのでまだ良かったですが、奥まで入っていると爪楊枝や細い棒で穿らないとなかなか取れないので除去が大変です。


最後にオメガの時計です。
この時計はとんでもないことになっていました。

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最初の状態から嫌な予感はしていたのですが、ベゼルを外してみると歴史を感じる重厚なサビを纏っていました!
この状態になると、極端な言い方ですが素材を削る様に取らないと除去ができません。
その後サビ取り液に付けてまたとっての繰り返しです。
レベル5認定ですね。

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さすがにここまでサビが広がっている時計を商品にするのはよろしくないと判断し除去を断念しました、、、
ここまでサビが発生している物は初めてです。
定期的なメンテナンスが必要だとより実感できる事案でした。

時計は素材が金属なのでサビは確実に発生してしまいます。
主な原因は、汚れ・汗・水分などです。
腕に密着しているので上記の要因を確実に受けてしまいます。
着用していると気づき辛いですが汚れがどんどん蓄積されていき劣化しサビの原因になります。
人が毎日お風呂や歯を磨く様に、時計も日頃からケアが大切です。
着用後にクロスで全体を拭き、ブラシ(柔らかい素材の物)や爪楊枝などで隙間の汚れを落としたりするなど時計も労ってあげれば発生率を下げることができます。
また良く誤解されやすいですが、ステンレスは『サビない』訳ではなくて『サビにくい』のでサビる時はしっかりサビます、、、

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③のOMEGAくらいまでサビが進行していると手の施しようがない状態になってしまいます。
ここまでなるには相当な年月が必要だと思いますが、使い方によっては早い期間で同じ様な状態になる可能性が有ります。
3年に1度オーバーホールと良く言われているのは、内部のムーブメントだけではなく、外装のケースも含めて点検・洗浄の意味も有ります。
機械式時計は一生使えるといいます。確かにそうだと思いますが現行モデル、ヴィンテージモデルに拘らず定期的なメンテナンスが前提の上での話です。

是非いま一度お使いの時計を大切にケアをしてみてください。
毎日は難しいと思うので、月に何回かなど徐々に回数を増やすとそれが習慣になってくると思います。
でも習慣づけって難しいですよね、、、

日々のケアや修理についてのご相談もお気軽にお問い合わせください。
お待ちしております。(サビが酷い場合はサビ取り料金が発生致します。ご了承下さい。)