History of European Watch and Clock Company Inc / EWC 100年の年月を経た物を「antique」と定義すると言う記事を読んだ事がある。 そんな100年近い年月を経たカルティエの時計を収集する中で、今回最も重要な歴史であるEWCを紐解こうと思い、ブログを書く事にしました。 私は純粋にデザインが好きでカルティエの時計を集め始めたが、カルティエのデザインが好きな方には如何に優れたブランドか、時計が好きな方には何故こんなにもカルティエの時計が注目されているのか。是非一緒に好きになって頂きたい。 カルティエが19世紀から時計の取扱いを始め、ジュエラーたるアールデコ調のデザインを使用した時計の製造を始めた事は、時計の歴史を知る上で欠かせない事実であり、そのいち早い時計産業への参入が後に世界中で語り継がれる事になる「European Watch and Clock Co Inc」の誕生へと繋がります。 ヴァシュロン・コンスタンタン、オーデマ・ピゲ、パテック・フィリップ、ロレックス等の当時から時計業界の一流であったメーカーとの時計製造、Cartierネーム入りのエクスクルーシブレター等、EWCが設立される前から、トップジュエラーとして数々の企業との深いパイプがあった事を知る事が出来ます。 元々世界最高峰の製品を製造していた企業が、時計業界でも一流となるきっかけとなった、ルイ・カルティエとエドモンド・イエガー(後にジャガールクルトを設立する人物)の出会い。その二人がパリの時計工房を設立し、作り上げたカルティエウォッチの外装とムーブメントの世界は、1930年代から1950年代(正確には15年間)まで続き、高い技術でパリの自社工房でジュエリーを製造していた同社にとって、カルティエ社が「自社製造・自社デザイン」での最高品質の時計を製造するという事のスタートであると共に、歴史的に見ても最高峰の時計製造工房の誕生でした。 「tankist/タンキスト/カルティエタンクウォッチを愛した著名人」でも書きましたが、カルティエのジュエリーを愛用していた数々の著名人や王族達が、美しいアールデコケースデザイン、イエガー氏の作り上げるEWCムーブメント、その両社の組み合わせに心惹かれたかは、疑いの余地の無い事実であり、容易に想像が出来ます。 この輝かしい歴史は第二次世界大戦の影響を受け、1940年代に運営が困難となったが、その後のムーブメントの供給がジャガールクルト社であり、その二社の繋がりが後に無くなってしまった事は残念な事だが、カルティエの時計を更に好きになる理由としては十分すぎる理由だと思います。 勿論、ロレックスやオメガの様に本数がある物では無い為、中々European Watch and Clock Co Inc刻印の入ったカルティエウォッチを手に入れる事は難しいが、その輝かしい歴史を受け継いだ多くのモデルが今でもヴィンテージとして存在し、手に入れる事が出来る事は幸運だと思います。 幸いにも私には、80年代には既にコレクションを完成させている人々の本が有る為、まだまだ勉強をする事が出来る。もし興味がある方はこの本「A Century Of Cartier Wristwatches by George Gordon」を購入して頂きたい。非常に勉強になる素晴らしいコレクションだ。 勿論、江口時計店の店頭でもこの本を手に取って頂く事が出来るのでお時間のある方は是非。 このストーリーに続けて、PARISダイヤルやマストシリーズの歴史となるが、その話は又別の機会に